労働関係・社会保険関係の法令や人事・労務管理問題に関する
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保険料軽減で浮かれるなかれ 高齢者の有効活用に一工夫を
 現在、開催中の第193国会では、雇用保険法等を改正する法案が審議されています。改正事項のーつとして、雇用保険率の引下げが盛り込まれています。
 雇用保険料は、失業等給付に充てる部分(労使折半)と雇用保険二事業(助成金等)用の部分(事業主負担)に分けられます。今回の改正では、労使折半分を0.2%引き下げる予定です。
 保険料を下げるのは、失業給付に使う費用が減っているからです。しかし、雇用情勢はどこまで改善しているのでしょうか。保険料ダウンの方針が決まった年末時点で、集計済みの失業率(平成28年10月)は3.0%でした。

 最悪だった平成14年当時が5.4%ですから、相当に良くなったのは事実です。しかし、バブル経済がはじける前はずっと2%台を維持していたのですから、「もう一息」という段階です。
 なぜ雇用保険収支が改善したかについては、他の要因も影響しています。平成12年改正では、特定受給資格者(離職を余儀なくされた者)とそれ以外で、所定給付日数に差をつける仕組みが導入されました。
 一方で、高年法により「65歳まで原則希望者全員継続雇用」が義務付けられました。一昔前は、定年退職した後、長年納めた雇用保険料の見返りとして、ゆっくりと失業給付を受けることができました。しかし、現在は嘱託再雇用で働き続けるために、失業給付の受給は先送りされるのが普通です。
 生活安定のための施策が、「失業給付の支給」から「雇用の保証」に重点シフトした結果、雇用保険財政の健全化が達成された形です。
 事業主は、保険料負担が軽減された代わり、「希望者全員雇用」という課題に直面しています。高齢者を有効活用できているか否か、経営者は、今一度、真剣に考えてみる必要があるといえます。
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